工程能力指数についてまとめます。
※この記事ではWordpressのMathJax-LaTeXというプラグインを使って数式を表示しています。ブラウザや環境によってはうまく表示されない場合もあるようですので、「」で囲んで簡易化した数式も併記します。
工程能力指数とは「その工程ではどの程度規格が満足出来ているか」を確認するために用いる指数です。
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両側規格の場合
両側規格の場合は以下の数式で求められます。
$$C_p = \frac{S_U – S_L}{6\sigma}$$
「 Cp = (SU-SL)/6σ)」
SUは規格上限値、SL規格下限値で、σは標準偏差です。
なぜ6σで規格の下限値と上限値の範囲を割るのかというと、
以下の図のように±3σの幅が6σにあたります。±3σの中に入る確率は99.7%ですので、工程能力指数=1.0、つまり規格下限から上限までの幅と±3σの幅が同じ値となるとき、99.7%の確率で規格の範囲内におさまり、0.3%が規格外となります。
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偏りを考慮した工程能力指数
上の図のように平均値が規格の中心とほとんど一致している場合は上記のCpで問題ありませんが、
以下の図のように平均値と規格の中心がずれている場合は、偏りを考慮した工程能力指数Cpkを使います。
Cpkは以下の数式で求めます。
$$C_pk = \frac{|S_N – \overline{x}|}{3\sigma}$$
「Cpk = |SN – 平均値| / 3σ」
SNは平均値に近いほうの規格
以下の図では、Bの幅がSN -平均値となります。
以下の図のときに偏りを考慮せずにCpで算出した場合、規格下限値から規格上限値の幅(A+B)と6σの値は一致するのでCp=1となります。
しかし、偏りを考慮してCpkで算出しなおすと、工程能力指数は0.67となりますので、工程能力は不十分ということになります。
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片側規格の場合の工程能力指数
片側規格の場合は、平均値から規格が設定している側へのばらつきのみ考慮すればよいので、以下の数式で求められます。
$$C_p = \frac{S_U – \overline{x}}{3\sigma}$$
「 Cp = (SU – 平均値)/ 3σ 」
または
$$C_p = \frac{\overline{x} – S_L}{3\sigma}$$
「 Cp = (平均値 – SL)/ 3σ 」
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工程能力の判定
上記で説明させていただいた通り、CpまたはCpkが1の場合、±3σの範囲と規格の範囲が一致するということになります。
工程能力指数の値は以下のように解釈されます。
工程能力指数 | 工程能力の判断 |
Cp ≧ 1.67 | 工程能力は十分すぎる |
1.67 > Cp ≧ 1.33 | 工程能力は十分である |
1.33 > Cp ≧ 1.00 | 工程能力は十分とは言えないがまずまずである |
1.00 > Cp ≧ 0.67 | 工程能力は不足している |
1.00 > Cp ≧ 0.67 | 工程能力は非常に不足している |
Cpが1.00となる場合は、規格幅が±3σの幅と同一のとき。99.7%で規格の範囲内となる。
Cpが0.67となる場合は、規格幅が±2σの幅と同一のとき。95.45%で規格の範囲内となる。
と考えると、平均値±3σが規格の範囲内におさまる場合は、工程能力指数はまずまず、ということになります。
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工程能力指数の区間推定
少ないデータから計算された工程能力指数はばらつきが大きいので、工程能力指数の区間推定を行って評価します。
Cpの信頼率(1-α)の信頼区間
上側
$$C_{p(U)} = \hat{C}_p\sqrt{\frac{\chi^2(n-1,\frac{\alpha}{2})}{n-1}}$$
下側
$$C_{p(L)} = \hat{C}_p\sqrt{\frac{\chi^2(n-1,1-\frac{\alpha}{2})}{n-1}}$$
$$※\chi^2(n-1,\frac{\alpha}{2})は自由度n-1の上側確率\frac{\alpha}{2}の\chi^2値を示す$$
$$※\hat{C}_pはC_pの点推定値$$
片側規格の場合
$$ \hat{C}_p± u(\alpha)\sqrt{\frac{\hat{C}_p^2}{2(n-1)} + \frac{1}{9n}} $$
Cpkの信頼率(1-α)の信頼区間
$$ \hat{C}_{pk}± u(\alpha)\sqrt{\frac{\hat{C}_{pk}^2}{2(n-1)} + \frac{1}{9n}} $$
$$※u(\alpha)は標準正規分布の両側100α%点を示す$$
区間推定の式の導出は分からないので、数式を丸暗記して臨もうと思います。。
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